構造工学講座本講座には,2つの研究グループがあります.

1.構造研究室へ  2.材料研究室へ

1.構造研究室

橋梁構造の動的作用とその影響に関する研究

 橋梁は,車両による走行荷重,人による歩行荷重,風荷重,地震荷重,雪荷重など,常に様々な動的な外力を受けています.それらの外力は,その構造物本体に影響を及ぼすだけでなく,その橋梁の利用者や周辺環境へも影響を及ぼしています.本研究室では,それらの動的な外力が作用した時の構造物の挙動を調べるために載荷実験や振動実験を行い,外力による影響を把握しています.また,その影響を軽減する構造対策について解析的に研究しています.

 例えば,写真−1に示したようなとてもスレンダーな吊形式の歩道橋が近年では架設されています.このような橋梁に対して,設計で仮定した剛性が妥当であったのか,写真−2のようなトラックを静的に載荷させたり,走行させることにより検証しています.

       

    写真−1 外ケーブル併用吊床版橋   写真−2 外ケーブル併用吊床版橋における車両走行実験

衝撃を受ける構造部材の動的ならびに破壊挙動に関する研究

 落石や雪崩に対して,安全に人を通行させるために写真−3に示すような落石防護工があります.この構造物は,直接落石などを受ける床組および横梁とそれを支える柱からなっています.この床組部材に落石などの衝撃荷重が作用する場合,横梁や柱において未だ解明すべき問題が数多くあるため,本研究室では,衝撃力特性,接触問題,応力波動問題などにも関連して,使用材料や構造の破壊挙動,落石貫通時の挙動,防護工構造部材のエネルギー吸収性能などの研究を行っています.また,落石や雪崩等の不確実性の高い衝撃現象の危険度評価法と設計法についても研究しています.この分野では,解析で用いるパラメータが未知であるため,写真−4に示すような重錘落下実験などを行い,現象の解明を実験的に行っています.

       

         写真−3 落石防護工             写真−4 防護工における重錘落下実験


2.材料研究室

 私たちの研究室では,建設材料のひとつであるコンクリートの研究を行っています.

 皆さんが「コンクリート」という言葉を聞くと,ダムや橋,ビルディングなどを連想し,それほど身近なものとは感じられないかもしれません.しかし,コンクリートは,一般住宅の基礎や学校の校舎など,普段の生活において目にするほとんどの構造物で使用され,現代の生活の中で欠かすことのできない材料です.

 コンクリートは「巨大なもの」と思うかもしれません.確かに,ダムや橋などを見ると,コンクリートは大きな塊として目に映るでしょう.しかし,コンクリートを構成するものは,セメント,水,砂,石などの手に取ることができる小さな材料です.コンクリートは,これらの材料を混ぜ合わせることにより,セメントと水が化学反応をおこして硬化してできるものです.そのため,実際にコンクリート構造物を造ろうとするとき,
 「セメント,水,砂,石はどのような割合で混ぜ合わせると良いのか?」
 「化学反応はどのように生じるのか?」
 「どんな性能のコンクリートができるのか?」
など,様々なことが解らなければなりません.

 また,一度造られたコンクリート構造物は,永久に所定の性能を保つものではありません.地震などによって壊れてしまったり,長年の使用にともない性能が低下することが避けられません.これらのコンクリートについて
 「どのように直していくのか?」
 「性能低下の原因は?」
 「コンクリートを長持ちさせるには?」
などの解決しなければならない問題点も多くあります.

 さらに,次世代のこと,例えば「リサイクル」や「環境にやさしいコンクリート」についても考えなければならないでしょう.

 私たちの研究室では,これらのコンクリートに関する様々な疑問点を解決することを目的に研究を行い,安心かつ快適な生活空間を社会に提供することを使命とする土木建設工学の一端を担っています.

 それでは,ほんの少しだけ私たちの研究を覗いてみましょう.

コンクリートの強さを調べています.

 コンクリートに求められる最も大切な性能は強さです.
 セメント,水,砂,石を混ぜ合わせて造ったコンクリートは,それらの材料の混ぜ合わせる割合によって強さが異なります.「安全な性能を持つ構造物を造るためには,どのような割合で混ぜ合わせると良いのか」「自分たちが考えて造ったコンクリートは,どの程度の強さを持つのか」また「長い間使用されてきたコンクリートは,要求される強さを満たしているのか」などを調べる最も基本的な実験です.

 

 

 

実際のコンクリート構造物を調査しています.

 私たちの研究は,社会的要求によって行われています.
 コンクリートは,現代社会で欠かせない材料です.しかし,コンクリートについて解らないことが多くあります.「なぜ性能が低下したのか」「なぜ壊れたのか」「いつまで使えるのか」・・・・・
 実際の構造物においても,予想もしなかったような現象が発生します.これらの構造物を調査し,原因の解明および対策を考えることも重要な課題です.

 

 

 

 

 

コンクリートの病気(アルカリ骨材反応)によって発生する膨張量を測定しています.

 コンクリートにアルカリ骨材反応という病気が発生した場合,コンクリートは長期間にわたって膨張します.これによって,最終的にコンクリートは破壊してしまいます.
 そこで,「どの程度コンクリートが膨張するのか」「いつまで膨張しつづけるのか」などを調べて,このメカニズムを考えています.

 

 

 

 

コンクリートに含まれる成分を調べています.

 コンクリートはアルカリ性(pH12〜13)です.このアルカリ性は,コンクリート構造物にとって重要な性質です(説明は省きます).
 コンクリートに問題(コンクリートの劣化)が生じた場合,その原因によってはpHが大きくなったり,小さくなったりします.
 したがって,コンクリート中のアルカリ量を測定することは重要なことです.

 

 

 

 

電子顕微鏡を使用して,コンクリートの微視構造を観察しています.

 セメントの大きさを知っていますか?一般的に使用されるセメントの平均径は,およそ20〜30マイクロメートルです.このセメントが水と化学反応して硬化します.
 したがって,コンクリートの強さなどの性能は,目に見えないマイクロメートル,ナノメートルという大きさで生じている現象が重要なポイントとなります.この微視構造の特徴を知ることは,コンクリートで生じる様々な「わからないこと」を理解する手がかりとなります.